豊島区の司法書士&土地家屋調査士 赤坂卓【あかさかすぐる】の日記

豊島区西池袋で開業している司法書士&土地家屋調査士です。相続・会社設立、不動産登記、新築・増築の登記、CAD図面作成などを得意としております。日々の業務に関する情報や独立した人間のリアルを発信しております。

相続と生活保護法

司法書士土地家屋調査士の赤坂卓です。

 

 

被相続人が死亡し、相続が開始すると、原則として相続財産はその相続分に従って相続人へ承継されます。

 

 

 

さて、では、相続人の中に生活保護の被保護者がいる場合、何か問題はないのでしょうか。

 

 

 

 

生活保護の要件として、以下の要件が挙げられます。

 

①日本国民 又は 一定の範囲の外国人である事。

②申請権者からの申請がなされている事(又は 急迫状況にある事)

③保護を要する状態である事。

④能力・資産の活用がなされている事(又は 急迫状況にある事)

 

 

 

相続財産を相続し、預貯金等の資金を相続によって取得すると、

上記要件の、③・④に影響が出てきそうです。

 

 

 

つまり、相続によって生活に十分な財産を得られるのであれば、被保護者がその資産を生活に必要な費用に充てることができるのであって、それを活用すべき、となります。

 

 

 

 

ここで、反対に、その相続する権利を放棄して良いのか、という問題が浮上します。

 

 

 

 

 

この点、私なり書籍等で調べてみたのですが、統一した明確な答えはないようでした。

 

ケースごとに被保護者様の置かれた状況等も異なるでしょうし、ワーカーさんなどに一度、相談するのが良いと思われます。

 

 

 

 

なお、相続の放棄には、大きく分けて以下の2種類があります。

 

家庭裁判所に対してする相続放棄

②遺産分割協議を行い相続しない旨の意思表示をする相続の放棄

 

 

 

このうち、①を行うと、最初から相続人でなかったものとみなされる為、これは身分行為であって、他人の意思によってこれを強制すべきではない、とするのが判例の考えのようです。

 

 

 

一方、遺産分割協議は財産権を目的とする法律行為であるから、詐害行為取消権行使の対象となりうる、とするのが判例の考えのようで、何ら事情がなく、自らの受領分を少なくしたときには資産活用の在り方として問題視されるおそれがあります。

 

しかし、上記の場合であっても遺産分割協議は本人およびその他相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して行われるものであるので、それらを考慮したうえで、個別具体的に判断がなされるものと思います。

 

 

 

個人的には、家庭裁判所への相続放棄であれば、問題ないように思えますが、

法律的なスジ論と現場での運用には差があるので注意が必要である、との声もよく耳にします。

 

 

司法書士業務の中では、中心的業務である相続ですが、

生活保護が絡むことがあり、その際は注意したいものです。