今回は、司法書士と土地家屋調査士の両制度について比較検討してみたいと思います。
皆さんは、司法書士や土地家屋調査士の仕事をご存じでしょうか。
最近、ラジオCMなどが流れる事もありますので、司法書士に関しては少しは知名度があがって来ているのかなと感じることもありますが(それでもまだまだ知名度は低いですが)、反面、土地家屋調査士に関しては、とても知名度が低いと感じます。
さて、実は、この2つの資格は共に法務省管轄の国家資格なのですが、それ故、制度的な観点から見ると、共通する点が多く存在します。
まず、この2つの資格は共に「登記の専門家である」という事が言えます。
※登記制度を所管している中央省庁は法務省です。それ故、登記申請もその出先機関である法務局に対して行います。
もちろん、登記以外の専門分野もありますが、土地家屋調査士なら不動産に関する表示の登記、司法書士なら不動産に関する権利の登記、商業・法人登記等が業務の中心であることに変わりありません。
また、司法書士も土地家屋調査士もそれぞれ司法書士法・土地家屋調査士法という法律を根拠とした国家資格なのですが、この法改正も同時に行われる傾向があります。
例えば、昨年の令和2年8月1日より改正された司法書士法・土地家屋調査士法が施行されたのですが、この時の法改正も両資格で同時に行われました。しかも、改正の内容が①使命規定の創設、②懲戒制度の見直し、③1人法人が可能になる、とその内容まで同じでした。
さらに、司法書士法・土地家屋調査士法は法律の構成がほとんど同じ構成で出来ています。具体的には条文の内容、タイトルまでほとんと同じです。(もちろん、業務内容に関する事項は異なります。)
これは、一体どういう事なのでしょうか?
ここから先は一個人の見解ですが、法務省としては登記制度という国のインフラ整備としての担い手・機能を司法書士及び土地家屋調査士に期待しているのではないかと考えられます。
また、昨年施行された司法書士の使命・土地家屋調査士の使命を見てみても、司法書士は「国民の権利を擁護し、もって自由かつ公正な社会の形成に寄与すること」、土地家屋調査士は「不動産の権利の明確化に寄与し、もって国民生活の安定と向上に資すること」とあります。
「自由かつ公正な社会」も「国民生活の安定」も我々個人が生きていく上での重要なインフラ基盤であることに変わりありませんよね。
…さて、いかがだったでしょうか。
普段、ご自身の職業については皆さんそれぞれのお考えやプライドをもって業務されていると思います。
今回は、司法書士・土地家屋調査士の両制度を比較しながら、我々に求められている役割などについて私なりに考察してみました。
ご参考になれば幸いです。