豊島区の司法書士&土地家屋調査士 赤坂卓【あかさかすぐる】の日記

豊島区西池袋で開業している司法書士&土地家屋調査士です。相続・会社設立、不動産登記、新築・増築の登記、CAD図面作成などを得意としております。日々の業務に関する情報や独立した人間のリアルを発信しております。

最近の筆界特定制度について

司法書士土地家屋調査士の赤坂卓です。

 

今日は筆界特定制度について記載したいと思います。

 

 

その前に、「筆界」とは簡単に言うと土地の境界の事を表します。

 

※実は「境界」と言っても、所有権の範囲や物を占有している範囲などの意味で使われることがありますが、ここでいう「筆界」は不動産登記法上の、すなわち公法上の境界を意味します。

 

 

 

さて、平成18年に不動産登記法が改正されて筆界特定制度が新たに新設されました。

 

 

 

この筆界特定制度は土地の境界を決めようとした時に、例えば隣地の方との認識が異なる場合や、そもそも隣地の方が行方不明で居場所が分からず、境界の立会ができない場合等に、法務局に申請して、筆界を特定するという制度です。

 

 

※なお、筆界特定にて特定した筆界に不服がある場合は、境界確定訴訟を提起し、判決が確定すれば、筆界特定の効力を否定する事は可能です。

 

 

 

制度ができて15年近くたつのですが、筆界特定の実務運用も時代の変化に合わせて以前と少し取り扱いが変化しているようです。

 

 

 

私も実務の中で筆界特定の相談を受ける事があります。

 

一例を挙げると、当初は筆界特定の申請を法務局にすれば基本は受付ていたようですが、最近は筆界特定を申請する場合に対象土地の「筆界が不明である事」を求める法務局が増えてきているようです。

 

 

これはどういう事かと言いますと、対象土地に寸法の入った法務局の「地積測量図」が備えられていると、それは即ち筆界は地積測量図によって明確であるから、筆界特定の申請をする理由がない、と判断しているようです。

 

 

背景には、現在、所有者不明土地問題等の対応で法務局の人員が不足しており、処理が追いつかない事情があり、迅速な対応の観点から受付数自体を減らす目的があるのではないかと推察できます。

 

 

もちろんケースバイケースではありますので上記の様な場合でも受理されるケースは当然あるとは思いますが、筆界特定の申請をすれば筆界が必ず特定できるものだと安易に考えることはできない状況になりつつあるようです。