豊島区の司法書士&土地家屋調査士 赤坂卓【あかさかすぐる】の日記

豊島区西池袋で開業している司法書士&土地家屋調査士です。相続・会社設立、不動産登記、新築・増築の登記、CAD図面作成などを得意としております。日々の業務に関する情報や独立した人間のリアルを発信しております。

境界標の復元

司法書士&調査士の赤坂卓です。

 

皆さんはご自身の自宅の境界標を見たことはあるでしょうか。

 

私は調査士になるまでは境界標(一般的にコンクリート杭や金属プレートが使用されます)を意識したことがありませんでした。

 

今回は、その境界標の復元について不動産業者さんから質問を受けました。

 

 

 

ところで、境界標の「復元」と聞いて、皆さんはどんな作業を想像するでしょうか。

「復元」というくらいだから、「存在したものを元に戻す」とイメージされるかもしれません。もちろん、これはこれで正しいです。

 

しかし、業者さんの用いる「復元」という言葉と、

我々調査士の想定する「復元」という言葉の間にはズレがある場合があります。

 

 

 

一例を挙げると、一戸建ての境界標識4か所の内、1か所だけ、見当たらなかったとします。新築当時の図面や地積測量図には境界標の記載があるので、恐らく、年月の経過とともに、何らかの原因で紛失してしまったのでしょう(このようなケースは往々にしてあります)。

 

ここでよくあるのが、その1か所だけを「復元」して欲しいという依頼です。

1か所だけなので、敷地全体の境界を確定するより簡単だと思われるかもしれません。

 

 

 

そもそも敷地全体の境界を確定させるには(一般的に確定測量と呼ばれます)、

ざっくりと下記の工程が必要です。

 

①敷地全体を測量する

②その成果を基に図面を作る

③図面を持参して隣接地との境界確認の立会をする

④承諾(境界確認書に押印を貰う)得た場所に境界標を設置する

⑤最終的な納品用の図面を作成する

 

※通常の戸建てだと道路と接している場合がほとんどですので、

官民の境界確認も必要となり、役所との打合せも必要です。

 

 

 

 

では、1か所だけの境界標の「復元」だと、どういう工程になるかと言うと、

実は、上記とほとんど同じ工程になります。

 

ここが、認識のズレを生じさせているポイントかと思います。

 

要するに、「復元」と言いつつ、実際は一から「確定測量」をしているようなものだということです。

 

 

 

さて、では我々の想定する「復元」とはどのようなものかと言うと、

 

「確定測量(境界確認の立会)を行ったばかりだが、その後の建物の解体工事等、何らかの理由で境界標識が紛失し、同じ場所に再度設置し直して欲しい」というようなケースです。

 

このようなケースですと、確定測量を行ってから日が浅く、

境界標の数値に変更がなく、敷地を測り直す必要がありません。

隣地の承諾も得ている為、一度測量したデータを基に、

同じ場所に設置し直すことができます。

上記の工程のうち④と⑤のみ、という事になります。

 

※尚、上記は私が測量に従事していた時の作業工程です。担当する調査士や測量会社さんによっては工程が異なる場合があります。

 

 

 

 

…いかがだったでしょうか。

 

私も現場で測量に携わるまでは、実際の業務内容など全くイメージできませんでした。

 

同じ言葉を用いても、互いの認識が異なれば事故やトラブルの元となります。

日々業務を行う上では気を付けたいものです。