豊島区の司法書士&土地家屋調査士 赤坂卓【あかさかすぐる】の日記

豊島区西池袋で開業している司法書士&土地家屋調査士です。相続・会社設立、不動産登記、新築・増築の登記、CAD図面作成などを得意としております。日々の業務に関する情報や独立した人間のリアルを発信しております。

無地番の土地

司法書士土地家屋調査士の赤坂卓です。

 

今日は公図上で地番が振られていない、無地番の土地について書きたいと思います。

 

 

土地の公図を見ると、ほぼすべての土地に地番が振られていますが、中には、地番が振られていないところがあります。地番が振られていない土地は、道路や水路(またはその公図の地番区域外の土地等)である事がほとんどで、一筆地で地番が振られていないケースはまずありません。

 

 

しかし、稀にそういったケースが存在します。

 

 

 

関東財務局のページから下記図を引用します。

 

 

 

細長い形状の部分は地番が振られていませんが、これは公図などでもよく見かけるように、道路ないし水路等である事がほとんどです。また、その管理者も役所の道路課などに問い合わせれば判明します。

 

 

 

さて、実線で囲まれた「無地番」と書かれた土地があるのが分かりますでしょうか。

 

 

 

実際の公図は「無地番」と書かれている訳ではなく、単に地番の記載がなく、土地の形状のみで、実線で囲まれた部分は空白です。また、地番がないので、登記情報が存在せず、所有者が誰であるのか分かりません。このままだと、例えば土地の境界確認の際、誰を相手に確認をすればよいか判明せず、困った事態に陥ります。

 

 

 

調べてみると、この無地番の土地はいわゆる脱落地(だつらくち)と呼ばれる土地で、基本的に国有地となることが多いようです。

 

 

 

関東財務局に脱落地について解説した箇所がありましたので、下記引用します。

 

脱落地とは、明治時代の地租改正において官有地と民有地を区分した際に、その作業から漏れてしまった土地のことをいいます。そのため、地図(公図)に地番が付されておらず、土地登記簿にも登載されておりません。
   現在では、地図(公図)に色塗りされた無番地の「畦畔」・「石置」・「根除堀」・「芝地」・「馬入れ」などのほか、地租改正の際に官有3種と分類された土地(村持ちの共有地的な土地など)で、地番が付され土地登記簿の表題部に「官有地」・「稲干場」・「死獣捨て場」等と記載されているものも含めて脱落地と呼んでいます。
   これらの脱落地のほとんどは財務省所管の国有地となりますが、なかには農林水産省国土交通省所管の財産もあります。

 

 

 

実際に私が出会ったケースでは、国ではなく市の所有である事を証する古い資料が残っており、所有者は市であるとされました。

 

 

 

しかし、多くの場合、脱落地は国有地との事のようですので、問い合わせ等、管轄するのは財務局等になると思われます。

 

 

 

 

 

いかがだったでしょうか。

 

 

無地番の土地など、普段なかなか出会うものではないと思います。

実際、私もこの仕事をしていなければ、まず出会わなかったと思われます。

 

 

根抵当権の債務者の相続

司法書士土地家屋調査士の赤坂卓です。

 

今日は、根抵当権の債務者の相続について書きたいと思います。

 

 

根抵当権の債務者に相続が発生すると、根抵当権の内容に変更が生ずる為、その変更登記をする事になります。根抵当権の元本確定前ですと、まず下記の条文に該当するかを検討するでしょう。

 

 

根抵当権者又は債務者の相続)

第三百九十八条の八 

第2項 元本の確定前にその債務者について相続が開始したときは、根抵当権は、相続開始の時に存する債務のほか、根抵当権者と根抵当権設定者との合意により定めた相続人が相続の開始後に負担する債務を担保する。

第4項 第一項及び第二項の合意について相続の開始後六箇月以内に登記をしないときは、担保すべき元本は、相続開始の時に確定したものとみなす。

 

 

これは、元本確定前であれば、死亡後6か月以内に相続人の中から指定債務者(取引を継続する者)を選び、根抵当権者(金融機関)との合意によって、その登記まで済ませると、元本は確定しない、と定めてあります。(逆に言いますと、何もせずに6か月経過すると根抵当権の元本が確定します。)

 

 

しかし、実はこれ、債務者が単独の場合には当てはまりますが、債務者が複数の場合(いわゆる共用根抵当権)で、その内の一人に相続が発生した場合は該当しません。つまり、6か月を経過しても、元本は確定しない事になります。他の債務者との関係においては、不特定債権を担保していると評価できるからです。

 

 

 

 

では、何も変更がないかと言いますと、もちろん、そんな事はありません。

ここからが、今日の本題となります。

 

 

 

例えば、根抵当権の債務者としてA・B、の2名が登記されているとします。

そして、Aが死亡し、相続人がB・Cの2名の場合を考えます。

 

 

 

この状況下で、よくあるのが、相続により債務者に変更(B・Cの2名になる)が生じますが、根抵当権者である金融機関としては、当初の債務者であるBのみと取引を継続したい、というケースです。

 

 

相続によって債務者に変更が生じているので、債務者の変更登記をするのはもちろんですが、併せて、相続したBの相続債務(特定債権)やCの債務(特定債権)も漏れなく、根抵当権で担保する必要があります。単に債務者をBのみとするだけでは、これらの債権が担保されません。よって、根抵当権の債務者だけではなく、債権の範囲を変更し上記債権を追加する必要があります。

 

 

この場合、①Cの債務については免責的債務引受をして、すべてBが引き受ける、とすれば良いでしょう。また、②BがAから相続した債務については、根抵当権の変更契約をして、債権の範囲に追加します。これは、根抵当権の元本が確定していない為、問題なくできます。①と②を併せて、以下のような記載を用います。

 

 

 債権の範囲

  ①年月日債務引受(旧債務者C)にかかる債権

  ②年月日相続によるBの相続債務のうち

   変更前根抵当権の被担保債権の範囲に属するものにかかる債権

 

 債務者 B

 

 

よって、相続による債務者の変更登記と、この変更登記の2件を申請することで、上記ニーズを満たす事ができます。

 

 

 

 

 

 

いかがだったでしょうか。

 

根抵当権については、試験でこれでもかと知識が問われますが、今回はかなり実務チックな内容だったと思います。

 

相続と生活保護法

司法書士土地家屋調査士の赤坂卓です。

 

 

被相続人が死亡し、相続が開始すると、原則として相続財産はその相続分に従って相続人へ承継されます。

 

 

 

さて、では、相続人の中に生活保護の被保護者がいる場合、何か問題はないのでしょうか。

 

 

 

 

生活保護の要件として、以下の要件が挙げられます。

 

①日本国民 又は 一定の範囲の外国人である事。

②申請権者からの申請がなされている事(又は 急迫状況にある事)

③保護を要する状態である事。

④能力・資産の活用がなされている事(又は 急迫状況にある事)

 

 

 

相続財産を相続し、預貯金等の資金を相続によって取得すると、

上記要件の、③・④に影響が出てきそうです。

 

 

 

つまり、相続によって生活に十分な財産を得られるのであれば、被保護者がその資産を生活に必要な費用に充てることができるのであって、それを活用すべき、となります。

 

 

 

 

ここで、反対に、その相続する権利を放棄して良いのか、という問題が浮上します。

 

 

 

 

 

この点、私なり書籍等で調べてみたのですが、統一した明確な答えはないようでした。

 

ケースごとに被保護者様の置かれた状況等も異なるでしょうし、ワーカーさんなどに一度、相談するのが良いと思われます。

 

 

 

 

なお、相続の放棄には、大きく分けて以下の2種類があります。

 

家庭裁判所に対してする相続放棄

②遺産分割協議を行い相続しない旨の意思表示をする相続の放棄

 

 

 

このうち、①を行うと、最初から相続人でなかったものとみなされる為、これは身分行為であって、他人の意思によってこれを強制すべきではない、とするのが判例の考えのようです。

 

 

 

一方、遺産分割協議は財産権を目的とする法律行為であるから、詐害行為取消権行使の対象となりうる、とするのが判例の考えのようで、何ら事情がなく、自らの受領分を少なくしたときには資産活用の在り方として問題視されるおそれがあります。

 

しかし、上記の場合であっても遺産分割協議は本人およびその他相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して行われるものであるので、それらを考慮したうえで、個別具体的に判断がなされるものと思います。

 

 

 

個人的には、家庭裁判所への相続放棄であれば、問題ないように思えますが、

法律的なスジ論と現場での運用には差があるので注意が必要である、との声もよく耳にします。

 

 

司法書士業務の中では、中心的業務である相続ですが、

生活保護が絡むことがあり、その際は注意したいものです。

 

土地の合筆制限

司法書士土地家屋調査士の赤坂卓です。

 

 

今日は土地の合筆制限について書きたいと思います。

 

 

 

 

表示の登記において、合筆の登記(2以上の土地を1つの土地に合筆する登記)は特殊な登記に分類されます。

 

 

 

 

特殊な理由はいくつかありますが、例を挙げると、、

 

 

①登記申請に「登記識別情報 または 権利証」が必要。

 

②登記完了後に新しく「登記識別情報」が発行される。

 

実印の押印が要求される。

 

④表示登記の添付書類には珍しく、印鑑証明書に3ヵ月の有効期限がある。

 

 

 

 

そして何より特徴的なのが、、

 

 

 

 

「合筆制限」が存在する事。

 

 

 

 

 

 

ここで、合筆制限とはなんぞや、という話になります。

 

 

 

合筆制限とは、一言でいうと、合筆の登記申請を法務局が受理する為の法律上の「要件」です。

 

 

 

 

いくつか例を挙げてみましょう。

 

 

1.土地の所有者が同一である事(共有の場合は持分の同一まで必要)

2.原則として、所有権の登記以外の権利に関する登記が存在しない事

3.土地が相互に接続している事

4.地目・地番区域・字が同一である事

 

 

 

 

これらは一例ですが、この中で、一つでも要件を満たしていないと、登記は受理されません。

 

 

なので、合筆の登記を申請するあたっては、合筆制限に引っかかっていないか、毎回確認する必要があります。

 

 

 

 

つい先日、こんな事がありました。

 

 

 

合筆の登記を申請しようと公図を見ると、申請地と離れた場所(現地においても図面上も離れた土地)に同一地番の土地があるのです。

 

 

かなりレアケースのようですが、公図を見ると確かに、同一地番の土地がもう一筆、存在します。

 

 

 

 

こうなると、「土地が相互に接続している事」という要件を満たしません。

 

 

 

 

この件、古い資料等で経緯を調べてみると、地番の振り違えである事が判明したので、法務局にて地番を訂正してもらい、その後、合筆の申請をしました。

 

 

 

 

 

さて、以上のように、合筆の登記の場合、前提として形式面で満たさなければならない要件が複数存在します。

 

 

 

 

現地での調査をしっかり行っていたにも関わらず、形式面での要件を見落としたまま登記申請してしまった、、、なんてことにならないよう、気を付けたいものです。

 

 

事務所名の由来

司法書士土地家屋調査士の赤坂卓です。

 

 

司法書士土地家屋調査士も開業すると自分で事務所名を決めることができます。

 

 

 

この事務所名を決めるとき、何に重きを置くかでおのずと方向性が決まります。

 

 

 

 

例えば、、

 

①本職の名前

②地名

③信念や理念

④上記とは別に語感等で決める...etc

 

 

 

 

業界的に多いのは①でしょうか。

②も地域密着型の雰囲気が出せるので選択している方も多いですね。

 

 

①だと自分の名前が入るのでトップが誰だか分かり易いですが、反面、個人事務所だと事業承継がやりづらいのではないかと思います。

 

 

 

 

ところで、私の事務所は「あかさか総合事務所」という名称です。

 

 

 

なぜこの名称を選んだかというと、私は開業までにあまり準備期間がなかったので、自分の名前以外に良い名称が思い浮かばなかった、という点が挙げられます。

 

 

 

しかし、「あかさか総合事務所」と、ひらがなと漢字を織り交ぜて付けたのは、配属研修時代に当時お世話になった、会社法商業登記法で有名な司法書士の内藤卓先生の事務所名(はるかぜ総合司法書士事務所)がカッコ良いと思い、いつか自分で開業する時が来たら、そのような名前にしようと心の中で思い続けていました。

 

 

 

なので、最終的に「自分の苗字のひらがな」と「総合事務所」を併せる形で落ち着きました。

 

 

それ以外でも、権利登記も表示登記も全部やるよ、という意味での「総合事務所」でありますし、地名の赤坂との違いを表すために「あかさか」にしたという理由もあります。

 

 

 

 

いろんな事務所名がありますが、いざ自分が決めるとなると中々難しいものです。

もしこれから開業される方がいらっしゃれば、参考になればと思います。

 

 

明日は司法書士試験の日ですね。

司法書士土地家屋調査士の赤坂卓です。

 

 

いまこのブログを書いているのは7月3日土曜日なのですが、

明日は令和3年度の司法書士試験の本試験日です。

 

 

受験される皆様にあっては、この1年間、必死に学習されてきたことでしょう。

 

最後まで諦めることなく、悔いのないように戦い抜いてください。

 

 

 

 

さて、私が司法書士試験に合格したのは平成23年度でした。

 

かれこれ合格して10年が経過したことになります。

 

 

 

受験時代は京都に住んでいたのですが、アルバイトをしながら勉強をしていました。

 

 

 

この時期になると毎年、受かった後でも、当時の緊張感を思い出して、気が引き締まります。

 

 

 

振り返ってみて、私が合格できたのは自身の頑張りもありますが、周囲の様々な人の助けがあったからだと思います。

 

 

 

合格して開業した今、業務を行い、そして生活できているのも、日々皆様にお世話になっているからに違いありません。

 

 

 

 

初心忘るべからずと言います。

 

今後も、初心を忘れることなく、日々業務を行いたいものです。

 

最近の筆界特定制度について

司法書士土地家屋調査士の赤坂卓です。

 

今日は筆界特定制度について記載したいと思います。

 

 

その前に、「筆界」とは簡単に言うと土地の境界の事を表します。

 

※実は「境界」と言っても、所有権の範囲や物を占有している範囲などの意味で使われることがありますが、ここでいう「筆界」は不動産登記法上の、すなわち公法上の境界を意味します。

 

 

 

さて、平成18年に不動産登記法が改正されて筆界特定制度が新たに新設されました。

 

 

 

この筆界特定制度は土地の境界を決めようとした時に、例えば隣地の方との認識が異なる場合や、そもそも隣地の方が行方不明で居場所が分からず、境界の立会ができない場合等に、法務局に申請して、筆界を特定するという制度です。

 

 

※なお、筆界特定にて特定した筆界に不服がある場合は、境界確定訴訟を提起し、判決が確定すれば、筆界特定の効力を否定する事は可能です。

 

 

 

制度ができて15年近くたつのですが、筆界特定の実務運用も時代の変化に合わせて以前と少し取り扱いが変化しているようです。

 

 

 

私も実務の中で筆界特定の相談を受ける事があります。

 

一例を挙げると、当初は筆界特定の申請を法務局にすれば基本は受付ていたようですが、最近は筆界特定を申請する場合に対象土地の「筆界が不明である事」を求める法務局が増えてきているようです。

 

 

これはどういう事かと言いますと、対象土地に寸法の入った法務局の「地積測量図」が備えられていると、それは即ち筆界は地積測量図によって明確であるから、筆界特定の申請をする理由がない、と判断しているようです。

 

 

背景には、現在、所有者不明土地問題等の対応で法務局の人員が不足しており、処理が追いつかない事情があり、迅速な対応の観点から受付数自体を減らす目的があるのではないかと推察できます。

 

 

もちろんケースバイケースではありますので上記の様な場合でも受理されるケースは当然あるとは思いますが、筆界特定の申請をすれば筆界が必ず特定できるものだと安易に考えることはできない状況になりつつあるようです。